出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B01MS4H1J7/?tag=cinema-notes-22
『葛城事件』は2016年に日本で上映された邦画です。
題材は赤堀雅秋監督が手がけた舞台作品で、この舞台作品はある事件をモチーフにしたとされています。
主人公は葛城一家で、物語は次男の葛城稔が無差別殺人事件を引き起こしたところからが始まりです。
稔は裁判で死刑が確定し、彼と獄中結婚をした星野順子が現れます。
彼女は稔や清、伸子と出会って話し、葛城家の家庭環境が明らかになっていくというのが物語の流れです。
ここでは兄の入った棺桶に話しかけた真意、獄中結婚の理由、自殺が失敗した後でそばを食べた理由について考察していきます。
なぜ獄中結婚したのか
死刑が確定した稔と獄中結婚をした星野順子。これまで彼と一切の関わりが無かった彼女ですが、なぜ獄中結婚をしたのでしょうか。
この結婚に伴って本当の家族とは縁を切られた彼女には、何らかのメリットは感じられません。考えられる要素は2点です。
死刑制度撤廃の足掛かりになれればと思っている
順子は死刑制度に反対する人間であり、死刑が確定している稔の死刑をなんとかしたいと話しています。
彼女は稔と本当の家族になることで他人の痛みを分からせ、死刑をどうにかしようと考えているのではないでしょうか。
死刑囚の心が変われば、死刑制度撤廃に近付くと考えているのかもしれません。
新聞などで動機を見て彼に興味を抱いたから
順子が葛城家に来たのは、稔が起こした無差別殺人事件から数週間、または何ヶ月も経った後です。
マスコミが清を追いかけ回すくらいですから、世間で騒がれた事件だったのでしょう。
彼女は何かしらの形で稔の存在や過去を知り、彼を救済したいと考えたのかもしれません。
さらに彼女は「人間に絶望したくない」と夢を抱いているので、稔がなぜ事件を起こしたのか気になったと考えられます。
兄嫁が母に怒った理由
長男の葛城保が投身自殺をした時の葬儀で、兄嫁は葛城伸子に「噓つき」と怒ります。彼女はなぜ怒ったのでしょうか。
兄嫁が保のリストラに気付いていたら自殺まで追い込まれなかったとも考えられますが、家族に怒りを露わにしています。
考えられる要素としては、保の性格形成です。
幼い頃から清に期待され、それにずっと応えてきた彼は誰かに弱音を吐くことが少なかったのではないでしょうか。
自分が壊れる前に誰かに相談できるような性格であれば、結果は変わっていたのかもしれません。
兄の入った棺桶に話しかけた真意
兄の保が入った棺桶に、稔が話しかける場面があります。彼はなぜ棺桶に話しかけたのでしょうか。