考えられる要素は2点です。
俺はお前と違う
稔は自分を哀れむ保のことをあまり良く思っていませんが、清ほどではありません。
保も父の被害者であることに気が付いているのでしょう。
誰にも状況を言わず自殺する展開は父親に対する当てつけと考え、「ダサイ死に方」と言ったのではないでしょうか。
家族や親戚間にしか影響を与えていないため、そのように言ったのかもしれません。
哀れみ
現実からの逃避行で自殺を選んでしまったことに哀れみを抱いたのでしょう。
稔自身は家族に絶望しても自身には絶望していない様子なので、家で自殺を図っていないのだと考えられます。
彼は「一発逆転するから」と言っており、後日にはナイフを購入して無差別殺人を起こしてしまうのです
彼の言う一発逆転とは、無自覚に人格を否定する父をメディアに露出させるためなのではないでしょうか。
自殺が失敗した後でそばを食べた意味
物語最後に清は庭にある蜜柑の木で自殺を図ろうとしますが、失敗に終わりました。
一度自殺しようと考えたならやり直すと思いますが、自殺を止めてそばを食べ始めます。
なぜ清は自殺失敗後にそばを食べようと考えたのでしょうか。考えられる要素は2点です。
我に返ったから
自殺する前の清は、稔が死刑されたことを知らせに来た順子に襲いかかっていました。
彼女からは家族になることを否定され、家に居ない家族の名前を呼び始めます。この時点から彼は正気ではありません。
自殺する時に使った蜜柑の木から落ちた衝撃で、正気に戻ったのではないでしょうか。
結局生きるしかないと考えた彼は、順子と話している時に食べたそばを再び食べたと考えられます。
自分の過ちに気が付いた
自殺に失敗した清は、稔に「生きて罪を償って欲しい」と順子に言ったことを思い出したのではないでしょうか。
蜜柑の木に落ちた衝撃でこれまでの出来事を振り返り、実は自分が始まりだったと気付いたのかもしれません。
自身が根本にあることに気が付いた清は、生きて罪を償うためにそばを食べたと考えられます。
作品は何を訴えているのか
無差別殺人の犯人を生んでしまった狂った一家の物語『葛城事件』は、視聴者たちに何を訴えようとしているのでしょうか。
考えられる要素は4点です。
家庭崩壊の反面教師
この作品に出てくる葛城家は、最初の時点で家庭崩壊を起こしています。
一番の要因が清で、彼は自分の言うことが正義だと思って家族や他人に思考を押しつけるタイプの人間です。
清の周りからルールが形成されていき、一番近い妻の伸子は家から出て行くまで彼の言いなりになります。
子供の保は「優秀だ」とただ期待していて、稔は兄と違って不出来だと言う始末です。