しかしはるかの意志がはっきりしているのであれば、反応が返ってきてもいいものの、その明確な反応は返ってきません。
その様子にはるかは「振られたかも」と思うのです。そんな中途半端な気持ちの時に、高嶺のデートの誘いがはるかに入りました。
振られているかもしれないのに、せとかの気持ちを止めることはできない。そう思って、高嶺とのデートを許すのです。
ホスト系ゆえの切り替え
千秋はせとかに一番最初に振られた男です。しかし、振られたのちの千秋はかなりすっきりしたように見えました。
それは、ホスト系のイケメンとして作品に登場したキャラクター設定が理由です。
これまでさんざん女性にモテてきた千秋。好きになったのは、せとかであり、当然傷心したでしょうが、それは他の女性で穴埋めできます。
それがモテる男千秋なのです。完全に切り替えたわけではないでしょうが、少なくともはるか以上には、切り替えがうまいでしょう。
はるかは、せとかへの中途半端な告白のため、心の中はごちゃごちゃ。それと対比させるため千秋はすっきりした様子だったのです。
イケメンたちの中では影が薄い
千秋は、とくに高嶺と比べると積極性が足りませんでした。いざという時にいなかったり、せとかの心を動かすキャラクターではありません。
だからこそ、潔くあきらめるキャラクターとして扱われるのです。
神社での思い出作り
当然千秋は、本気でせとかを振り向かそうとしましたが、神社のデートの中で最もせとかの心を動かすことはできませんでした。
告白をして、自分の本来の姿を隠さないで良いこと伝えましたが、あとの高嶺の行動に比べれば告白などまだかわいい方です。
当然せとかには、その記憶の方がはっきり残っているでしょう。
せとかが千秋を振った時、全く歯牙にもかからない相手であることが千秋には伝わったのです。
完全敗北であることを千秋は悟り、すっきりして初恋を終わらせることができました。
怪我の対応への遅れ
せとかが神社の石段でこけて怪我をしたとき、千秋ははるか・高嶺に出遅れてしまいました。
病院に駆け付けたとはいえ、その前にすでにせとかの心の中に千秋という選択肢はありません。
その前向きで変わりようがない気持ちを、千秋は察したからこそ、振られた後もあとを引きづる様子はないのです。
神社ではるかの記憶の一番になれなかった、さらには怪我への対応も遅れてしまった。
これが、千秋の失敗であり、せとかをはっきり諦める理由となるのです。
兄妹という垣根を越えて
通常の社会観念から見ると、当然高嶺とせとかの恋の方が、上手くいくでしょう。
しかし、はるかはその観念に抗い、最後にはせとかを愛する女性とすることができました。
ある意味高嶺の積極性が、はるかを動かしたとも言えます。
より高嶺の視点に立った考察をすることで、違った考察点が生まれるのが『兄に愛されすぎて困ってます』という作品なのかもしれません。