その結果、殺人を犯していきますが、人工知能として人と同じように物事を考えるHALは秘密を守らなければならない任務が負担となり、保身に走ってしまったのではないでしょうか。
木星には何がいて何があったのか
乗員をすべてHALに殺され、HAL自身も自らの手で葬ってしまったデヴィッド・ボーマン船長は、HALの機能を停止させたときに初めて月面に存在したモノリスと、この木星探査の真意を知りました。
様々な困難を乗り越え、ついに木星へとたどり着きましたが、木星のそばにあるモノリスを確認してからは、突如鮮やかでカラフルな『スターゲート』の中へとトリップしてしまいます。
このサイケデリックな映像を進んでいく中で、ボーマン船長は宇宙に関する知識を得ているという説もあります。
モノリスによって、誘われた木星にはまたモノリスがあり、ボーマン船長はモノリスの中に入り込んでしまったのです。
なんとか生き延びてやっとたどり着いた先は、外部との接触を一切断たれた謎の居住スペースとなっていました。
難解なラストをこれまでの流れに沿って解説!
突如現れた一流ホテルのような部屋
一流ホテルのようなこの空間はモノリスの内部であり、ボーマンはここで生活をし、そして年を取り死んでいきました。
結局、地球に戻ることも出来ずに一生を終えていくシーンが淡々と流れていきます。亡くなる直前に現れたモノリスにより、スターチャイルドへと繋がる進化をさらに遂げているのです。
キューブリックは本来予定していたナレーションを削ることであえてこの作品を難解なものに仕上げたとも言われています。
そのために多くの人が困惑し、そしてさまざまな解釈をするという形へとなっていきました。しかし、この神秘的な雰囲気がこの映画の魅力を大きく出しているのでしょう。
ラストに現れた『スターチャイルド』とは一体なに?
モノリスの中で生涯を終えるボーマン船長は、最後ベッドの中で息絶えてしまいます。
その直後にあらわれる赤ん坊こそがボーマン船長の生まれ変わりであり、人間をも超越した『スターチャイルド』と呼ばれる存在になります。
このスターチャイルドは、モノリスを人類へと与えた宇宙人や神のような存在で、スターチャイルドになったことで木星のモノリスから出て、太陽系へと戻ってきています。
スターチャイルドはまた、地球へと帰っていくのです。
なんとも難解で理解しがたいラストではありましたが、共同制作者であるアーサー・C・クラークはもし誰かが『2001年宇宙の旅』を完全に理解したら、私達は失敗したことになると語っています。
これは、公開当時のパンフレットに記載しており、そこからもわざと見る人に容易に理解されないように制作していることが分かります。
『SF映画における金字塔』であるこの作品は難しいからこそ、100通りの解釈があり、それぞれが楽しめるように作られた映画であるということが伺えます。