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『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』は観る者が誤訳するミステリー映画といわれています。
見事なトリックは解読不可能で、何度も訪れるミスリードに捕まってしまうのです。
2019年の映画祭で上映され、国内では2020年に公開されました。
アレックスはなぜ翻訳家として潜り込んだのか…。
そしてアングストロームが殺人犯したのは一体なぜだったのでしょう。
結局4人はアレックスにいいように使われたように感じますが、そこにこの作品の意図が隠されているのかもしれません。
アレックスの犯行動機
本作に描かれたアレックスは、復讐という執念に取りつかれた青年といえるでしょう。
彼が正当な善人だと仮定して映画を観ると、いくつかの疑問点に遭遇してしまうのです。
復讐の為の犯行
アレックスが劇中で様々な手を使いアングストロームを脅したのは、復讐が目的です。
この作品は全体が、彼の復讐劇だといえるのではないでしょうか。
ジョルジュを殺したのはアングストロームに間違いないと確信した彼は、天才的ともいえる計画を作り上げました。
自身も犯罪となる行為をしたのに、その罪までをアングストロームのせいにしたのです。
ジョルジュ殺しの復讐の為、というのが大きな動機でしょう。
作品を金儲けに利用された
アングストロームは、僕の小説を金儲けの道具だと思ってる
引用:9人の翻訳家 囚われたベストセラー/配給会社:ギャガ
アレックスは文学作品をお金儲けに利用しているアングストロームが許せなかったのでしょう。
まるで自分が利用されているような気持ちだったはずです。
文学と金銭的利益は切っても切れない関係性をもって、悩みと共に様々な作品に登場します。
本作品では、第三者が文学をお金儲けに利用したことで筆者であるアレックスの反感をかったのです。
アングストロームへ復讐した裏には、自分の作品を利用されたという憎しみも込められていたでしょう。
ジョルジュ殺しを認めさせる為
ジョルジュ殺しの証拠は消され、法的に罰せられることはありませんでした。
アレックスは、この罪を明らかにしアングストロームに罪を負わせるために自ら犯行に及んだといえます。
結果的にはオルガ・キュリレンコ演じるカテリーナが撃たれたことで、アングストロームは捕まりますが、おそらく他にも手はあったのでしょう。
ただ彼を刑務所に入れたいだけなら、カテリーナを撃ったことでその目的は果たされたはずです。