観る者はこの体を殺人鬼らしい粗野な体だと受け流すでしょう。
しかしこのシーンは伏線であり、観客をミスリードさせるものとなっています。
体の傷は後に投身自殺未遂によって負ったダメージとして回収されていくのです。
見晴を殺人犯にしたくなかった心理
牧村は、見晴から曽根崎を身をていして止めています。
美晴を殺人者にしない為という理由もありますが、この行動にはもう一つの意味が隠されていました。
曽根崎は真犯人ではないのです。
だからこそナイフに刺されてまで彼女の殺害を止めたのでしょう。
曽根崎は架空の人物
劇中マスコミは曽根崎について「過去なき男」といった見出しを週刊誌に載せました。
素性がつかめない、謎の犯人というミステリアスな人物へのミスリードとなります。
しかし、これも曽根崎が架空の人物であることの伏線になっていました。
曽根崎と牧村の秘められた関係を示す伏線
結末を知っていれば曽根崎と牧村が相対した際、殺人鬼と被害者遺族の関係とは違って見えるはずです。
特に牧村の表情には曽根崎への温情を見てとれるときが多々あります。
曽根崎が自著のサイン会を開いた際に、懸命に曽根崎を守る牧野がありました。
しかし、その行動は妹を殺された兄の行動であることと矛盾します。
なんであんな奴をかばうの
引用:22年目の告白-私が殺人犯です-/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
見晴が怒鳴ったセリフもまた伏線となっています。
法を守る刑事としての行動であると観客をミスリードしてしまうのです。
しかし後にこの質問は、牧村と曽根崎が協力関係にあることの伏線として回収されていきます。
見落とせないファントム・ペインの伏線
劇中山縣がファントム・ペインについて話すシーンは重要といえます。
これは仙堂の殺人動機にもつながる伏線なのです。
四肢を切断した患者のあるはずもない手や足が痛みだす
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ファントム・ペイン
ファントム・ペインはこのように幻想的な症状のことです。
これは殺人事件の遺族にもいえ、亡くなった家族や恋人によって精神的な苦痛を感じ続けています。
そして、それは友人を殺された仙堂にも当てはまるのです。