幼少期に投身自殺を行おうとした経験のある望来は、周りの人から5億円の寄付金のおかげで生き延びました。
高校生になってからの彼は、窮屈な人生が嫌になって自殺する前に旅を始めます。
生まれてから死ぬまでに必要な金額は日本人の平均で約2億100万円。
千春が自殺したがっていることを知っていた望来は、彼女に命の価値を教えようとしたのではないかと考えられます。
望来は明日香から命の価値を教えられ、千春は望来から教える形で視聴者に訴えているのではないでしょうか。
お金の価値
こちらもテーマの1つと考えられる要素です。
望来が生きるために用意された5億円の寄付金は、彼が何かしらの労働をしたことで得たお金ではありません。
募金してくれた人たちが苦労して得たお金です。
望来は実際に労働して初めてお金を稼ぎ、生活しながらお金を稼ぐ大変さを知ります。
苦労してお金を得るのに対し、お金を失うのは一瞬です。
この物語では宝くじが当選したなどと例外はありますが、お金の価値を伝える作品であると考えられるでしょう。
期待に押し潰される子供の姿
この物語で望来が旅に出たいと考えるようになったのは、周りから期待され続ける環境に晒された結果です。
5億円をかけて生き延びた人生は、メディアで「良い子に育っている」と言わんばかりのドキュメンタリーを撮られる。
彼は皆から自分を助けて良かったと思われるような人になろうと日々自分を偽り続けていました。
周りに期待され続けた彼は生きることが窮屈になり、心はどんどん病んでいきます。
期待を込めて教育する親の子供でも言えることで、期待に応えなければと思わせないことが大事だと訴えているのではないでしょうか。
まとめ
5億円で命を救われ、自殺する前に出た旅で命とお金の価値を知る物語『五億円のじんせい』。
男子高校生が主役ということで青春物のように感じられる作品ですが、自殺や闇バイトを扱った場面もあったりと意外と重い内容です。
2週目を見返すと、物語最初と最後が繋がっている点、望来の回想に出た病室で亡くなった少女が明日香だったりと細かく描かれています。
よく見ると物語がループしていることに気が付くと面白味が増す作品と呼べるのではないでしょうか。