逆にいえば組織というプラットフォームすら崩れる時代が来ていることを示しています。

家族の情すら仇となる

捨てる力 ブッダの問題解決入門

上記したロヴァクとムラット以外にも本作では家族の絆へのアンチテーゼが示されています。

それが前半で示される老人施設で母と再会した時のスリーの親を切る場面です。

積極的に介護して自分が何をしているのかを話しても母は息子の存在すら認知できません。

ワンはこの時スリーにもう親と縁を切った方がいいという趣旨の発言をしています。

これは即ち個人の時代へ移行する現代では家族の絆が何の価値も持たないということです。

正に時代の大きな変わり目であり、家族との別れすらも個人が選択する時が来たということでしょう。

その痛みと引き換えに彼らはチームを組んでロヴァク暗殺を成し遂げるのです。

情がないわけではない

それでは全く人情味がない関係性なのかというと決してそういうことではありません。

世のため人のためという目的の為に動いていますし、トゥーとスリーは男女の関係に発展します。

チームを組んでいるのですから彼らも根底の人間性を信頼しているのです。

だからといって普段からベタベタした関係ではなくけじめをつけて一定の距離感を保っています。

決して単なる仕事だけではない、しかし情だけの繋がりでもないところが本作の魅力でしょう。

そして彼らが示すヒーロー像はこれからの時代に来るべき1つのビジネスのモデルだといえます。

個人が国家を超える時代

個人と国家 ―今なぜ立憲主義か (集英社新書)

こうして見ていくと本作は実にホットな現代的テーゼを示した作品であるといえます。

それは「個人が国家を超える時代」を真正面から宣言しているということです。

本作の構造は傑出した才能を持った人たちが裏から国家の転覆を起こす構造になっています。

しかし、国家をはじめそれまでは権威とされた肩書き・地位・権力が何の意味もなさないのです。

ワン達の働きかけとムラットの裏切りによってロヴァクは最終的に国民に逆襲され滅びました。

昔は倒すのに苦労した国家の悪人ですらも名もなき個人の集合体に倒される時代が来たのです。

本作の結末はこれからやって来るであろう現代社会の未来を示していたのではないでしょうか。

権威解放宣言

自由と権利―政治哲学論集

いかがでしたでしょうか?

本作が描いて来たテーマを突き詰めると「権威解放宣言」にあるといえます。

家族・職業・組織・国家等々かつての権威が終盤に向かってどんどん解体されていくのです。

その上で残るものは個人の内なる権威と、その結果出来上がる新時代のヒーロー像でした。

今までこうした国家と個人の関係については様々な映画を通して議論されて来たことでしょう。

しかし、それに明確な1つの答えを真正面から出したのが本作だったのではないでしょうか。

劇場公開ではなくNetflixというネット発の媒体であることもその証だと推測されます。

派手ながらも洗練されたアクションの裏に示されているテーマは実に意義深く示唆に飛んでいるでしょう。

そのメッセージを感じ取ることが出来て初めて本作はその真価を理解できたといえるのです。

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