ジョンにとっては、自分も含めて彼の周囲の人たちはみんな違う星から来た異星人の集まりに見えたようです。
彼の周りは全て作り物だったり、うわべだけの接触だったり、刹那的な触れあいに過ぎないものばかりでした。
彼はリアルな自分の思いをたとえ一方的であっても誰かと共有したかったのではないでしょうか。
ルパートも母親との葛藤やクラスの連中からの嫌がらせを受けていましたので、ジョンの苦悩はよく理解できたのです。
そうです。ジョンにとってはルパートこそ同じ星に住む住人で、お互いを理解し合える唯一の友だったのではないでしょうか。
反面教師
ルパートは賢い子でした。ジョンが手紙の中に告白したことで彼の理解の範疇を超えたことは黙って聞き置いたことでしょう。
ジョンの苦悩はルパートにとって反面教師になりました。無意識の中でルパートはジョンの苦悩を繰り返さない彼自身の自我を作り上げたのです。
文通などのコミュニケーションはお互いに得るものがないと長続きしません。
二人にはお互いの感受性が響き合っているという実感があったことでしょう。
それは何にも代えがたい貴重なものでした。
ジョンからの数々の手紙は彼が意識したかどうかは定かではありませんが、ルパートの人間構築に大きな役割を果たしたはずです。
生きてる実感
ジョンには自分自身を生きているという実感があったのでしょうか。
ルパートと手紙を交換していたとき以外は、そのような実感が乏しかったもかもしれません。
常に何かを演じ続け、自分の本性をひたすら隠し続ける人生は苦しいものです。
ましてや母親を始め家族ともしっくりと打ち解け合えないのですから。
ファンレターから偶然始まったルパートとの文通は彼が日常的に表に出したくても出せなかった多くのことを表現できる場だったのです。
芝居のこと、家族とのこと、マネージャーのことなど何でも書けたのです。でもそれが表沙汰になる可能性には思いが至っていませんでした。
演じるということ
役者の苦悩は役者しかわからないといわれます。
天才といわれる人でも役者としての自分と本来の自分とのギャップに苦しむようです。
あまりにも演じることが日常的になると、演じている方の自分が自分らしく思えてきたりします。
怖いのは演じている自分のイメージがマスコミによって固定されてしまうことです。
そうなると本当にしたいことやなりたいことを表立ってすることが出来なくなってしまいます。
自分自身がどんどんすり減ってしまい、やがては自分を失ってしまうことにつながるのです。
母と子の葛藤
このドラマでは母と子の心の葛藤が重要なテーマとして取り上げられています。