心の奥で光希の家庭をうらやましく思っていたことでしょう。
茗子が誰にも言えない秘密を抱えてしまったのは、彼女の家庭環境に原因があったのです。
また原作では茗子の両親が、茗子と名村の関係を忌々しいと思っている描写もあり親子関係もよくありません。
それゆえ茗子は、光希に名村との関係を知られたら嫌われると感じてしまったのでしょう。
親と子の対比が魅力
本作品はラブストーリーを中心に描いていますが、親と子の関係にも注目したい映画です。
光希や遊の明るい親、罵り合いながら関係の壊れた茗子の両親など様々な親が登場しています。
また親と子供の温度差もコミカルに、そしてリアルに描かれているのです。
不倫相手の子
遊は劇中様々な誤解をしていますが、最初の誤解は不倫の子というものです。
母親に不倫の噂があったのは真実なので、誤解をしてしまうのも当然といえるでしょう。
そして、それをいい出せなかったという心境も子供の立場を上手く表現しています。
子供ながらに親に対して気を使っていたことになるのです。
本作は、子供の目線からの親達の姿が見事に描かれていたのではないでしょうか。
光希と兄妹
こちらは少々強引な思い込みのようにも感じますが、光希とは本当の兄妹なのではないかという誤解です。
二人の両親はパートナーチェンジをするなど確かに普通ではありませんが、物事をあまり深く考えないタイプのようです。
恋をしちゃだめよ
引用:マーマレード・ボーイ/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
上記の忠告も兄妹だからではなく、単に関係がややこしくなるからなのでしょう。
深刻に考え込む子供たちと、あっけらかんとしている両親たち。
大人と子供の対比も見どころのひとつといえるようです。
リアルな感情に魅了される実写化映画
『マーマレード・ボーイ』は少女漫画を原作としており、その設定はかなり突飛なものとなっています。
しかし廣木 隆一監督は、ありえないような設定の中に微妙な人間の心理を織り交ぜてリアルな感情を生み出していました。
様々なストーリーや背景を凝縮した映画となっており、原作を知らないとストーリー展開が難解に感じるかもしれません。
原作の漫画を制覇してから観返すと、更に奥の深い映画になるのではないでしょうか。