こうなればカイルとリーは完全に目的を一にすることになります。
これを理解したカイルがリーに爆弾の真実をバラすことはある意味必然だったのです。
起爆スイッチを手放したカイル
キャンビーから謝罪の言葉を引き出したカイルは起爆スイッチを手放し射殺されてしまいました。
これは彼のシナリオ通りだったのではないでしょうか。スイッチを手放すカイルの表情がそれを物語っています。
そこには物事を成し遂げた満足感が見て取れるのではありませんか。
カイルをとめようとするリーは既にカイル側にいたことも明らかです。
単に謝罪を引き出すためにではあっても、ここまでしなければならないことをカイルは理解していました。
尋常なことでは自己正当化をやめない金融界の闇がそこにはあるのです。
ウォール街の闇
この作品はモンスターのような金融界の闇が現実に存在することを我々に告げています。
金融マーケットではコンピューターを介して膨大なマネーが凄まじい速度でやりとりされ、一部の富める者が利益を独占しているのです。
彼らは法の網を巧妙にすり抜け、ときには違法な取引に手を染める者もいます。
この物語ではキャンビーがその代表選手として描かれているのです。
キャンビーの言い分
キャンビーはリーやカイルに作為的に株価暴落を演出したと問い詰められますが、「自分は何の法に違反したのだ」と開き直ります。
確かにキャンビーのやったことは道義的には責められても、一見合法な株取引と見えなくもありません。
大衆を扇動して意図的に株価を操作した点は後に違法性を追求されます。
でも株を安く買って高く売るという行為そのものは完全に合法なのです。
この物語の中ではキャンビーの悪巧みはパティたちの執拗な追跡で明るみに出ます。
もしパティの尽力やカイルの捨て身の抗議がなければキャンビーは何事もなくビジネスを続け、リーもまたノリノリのMCを続けたのです。
現実的には如何なる追求も受けることなくキャンビーのようなずる賢い投資家が金融界で暗躍していると考えなくてはいけません。
このために多くの一般の投資家が搾取されている現実があるのです。
日常に戻るマーケット
このような事件があったにもかかわらず金融マーケットは翌日何事もなかったように動き続けます。
このような事件でさえ平気で飲み込んでしまうモンスターのような金融界にこそ本当の闇が潜んでいるのではないでしょうか。
その闇の中では恐らく第二第三のキャンビーやリーが次々と誕生し、カイルのような一般の善良な投資家を搾取し続けるのかも知れません。