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「ミュージアム」は2016年に公開されたサスペンス映画です。
雨の日だけに出没する、カエルの仮面を被った謎のカエル男。
彼が引き起こすいくつもの猟奇的な殺人事件。本作は、アメリカの映画「セブン」のようにショッキングな犯罪を扱った作品。
漫画家の巴亮介が「週刊ヤングマガジン」で連載していた漫画が原作です。
監督は実写版「るろうに剣心」で独自の世界観を描きながら、原作ファンを納得させる作品に仕上げた大友啓史。
今や日本を飛び越え海外にも活動を広げる小栗旬が主演を務め、主人公の沢村刑事を演じました。
特殊メイクにより、一見すると誰が演じているのかわからない姿で狂気のカエル男を演じたのは妻夫木聡。
それまでの爽やかなイメージと真逆の、残忍さが振り切れた妻夫木の演技は強烈な印象を残しました。
事件の解決後、沢村の息子の将太は運動会の途中に首をかきます。
この記事では、将太のその行動の意味と沢村が屋上で屋上で犯人を逃がした意図。
そしてカエル男・霧島早苗の姉である橘幹絵が、ラストで弟を殺した理由を考察します。
将太が首をかく意味
将太が最後に首をかく意味。そこには、二つの意味が隠されています。
将太が光線過敏症を発症した
将太の首をかく行為は、一連の殺人事件の犯人である霧島早苗と同じ行動でした。
霧島は幼い頃に起こった、両親の殺人事件のトラウマによって光過敏症を発症しています。
将太も霧島が起こした事件に巻き込まれた被害者です。猟奇的な霧島に捕まり、悪夢のような時間を過ごしました。
そのことから、事件が解決したとはいえ相当なトラウマを受けたことは充分考えられます。
その結果、将太もまた霧島と同じように光過敏症を発症してしまったのです。
そのため、日差しが眩しい運動会の途中で首をかきだしました。
将太が霧島と同じになる
首をかく行為を通して、将太がいつか霧島と同じになる可能性を秘めている。
それを観客に暗に示すのが、この行動のもう一つの意味です。
霧島を逮捕した沢村。しかし、それまでの沢村は仕事一筋で家族のことを省みることなく妻子と別居状態でした。
霧島の事件を通して、家族の中を回復させた沢村。しかし、これまでの罪はそう簡単には消えない。
将太の首をかく行為は、沢村への報い。あるいは、霧島の残した怨念とも言えるかもしれません。
同時に猟奇的に見える桐島に、トラウマを抱えれば誰もがなってしまう可能性があることを指名しています。
霧島は決して特別な人間ではなく、誰の心にも潜んでいることを大友監督は伝えたかったのではないでしょうか。