またはステージの時間ギリギリまで彼女が舞台に立ってくれることを信じて、「しのかよ」のままにしていたのかもしれません。
ミュージシャンになる夢に近付けるため
2つ目は自身のミュージシャンになる夢に近付けるためです。
加代はミュージシャンを夢見る音楽好きでありながら、音痴という難点があります。
志乃と音楽グループを組んだ時は、自身の欠点であった音痴をカバーしてもらうのが目的にありました。
しかし、志乃が加代から距離を取ってから彼女は気付いてしまったのかもしれません。
ミュージシャンを目指す場合、音痴という欠点を克服しなければならない。
そう思った彼女は、志乃が居なくとも一人でステージに立てるようにと考えたのかもしれません。
加代が歌詞を書いた「マホウ」の意味
文化祭のステージで、加代が歌ったオリジナル曲「マホウ」。
この楽曲には、どのような意味が込められていたのでしょうか。歌詞の内容から感じられる意味は2点です。
自身のコンプレックスに立ち向かうため
1つ目は自身のコンプレックスに立ち向かうことです。
志乃は普通に話したい願望を持っており、加代はミュージシャンになりたがっています。
しかし、志乃は抱えている疾病の影響で普通に話せず、加代は音痴である影響で人前で歌うのを躊躇っていました。
文化祭で歌った「マホウ」は、志乃と加代それぞれが抱く悩みが治る魔法に例えているのではないでしょうか。
何度も「マホウはいらない」と歌っている部分では、無理して克服する必要は無いと訴える。
最後の「バスに乗ろう」の部分では、加代は志乃に頼らず自分の弱みと向き合う気持ちの表れだと考えられます。
舞台を一人で立っていることを想定した
2つ目は舞台に立つ自分の心境を歌っている可能性があります。
「しのかよ」として舞台に立とうと考えた加代は、予定からズレて一人で立つことになりました。
音痴の自分が舞台で歌うのは恥をかくだけで、歌詞にもあった「校舎の裏に帰りたい」ともマッチしています。
途中から志乃に拒絶された加代は、舞台に立つと決めた以上、一人で立つことを想定して歌詞を書いたのではないでしょうか。
ラストに言葉を伝えられた理由
文化祭で加代が歌った後、志乃は思っていたことを舞台に向かって吐き出します。
彼女はなぜ思いを口にすることを決意したのでしょうか。
考えられる理由は、加代が自身のコンプレックスと立ち向かったからです。