以前の彼であれば決してできなかったことです。
サイラスは自分の中に勇気の欠片を見つけたのでしょう。
自分でもあのようなタフガイのニックのサポートができることに気づいたのです。
サイラスは変われたか
ニックはサイラスの申し出を受けてコルシカ島に向かいました。彼は新しい自分の人生に向けて一歩踏み出すことにしたのです。
さてサイラスの方はどうでしょうか。彼は本当に変わることができたのでしょうか。
とっさとはいえ、あの場面であのような行為ができたということはサイラスにとって大きな自信につながるでしょう。
彼には資金力がありますので、勇気さえ持てればいくらでも新しい自分の人生を切り拓いて行くことが可能なはずです。
ニックはなぜ銃を使わないのか
ニックはなぜか問題解決に銃を使いません。どう考えてもどうせ殺すのであれば銃の方が手っ取り早いではありませんか。
ベイビーは「ニックにはその必要がないから銃を使わないのだ」と言います。
工作機関のエージェントはどのような状況であろうと、その場にあるものを使って自分の身を守る必要があるのです。
いつも銃が使えるわけではありません。
恐らく彼の長いエージェントとしての習性が彼には染みついていたのでしょう。
このため彼はその場にあるものを有効に活用して、いつもその場を凌いでいるのではないでしょうか。
ベイビーの裁定
ベイビーとニックはお互いを知り尽くしています。
ベイビーはニックがダニーの用心棒を殺した犯人ではないことをわかっていたはずです。
ではなぜベイビーはニックを呼びつけてダニーの前で裁定をしようとしたのでしょうか。
ベイビーの裁定はラスベガスの裏社会で必ず噂になることを彼は知っていたのでしょう。
裏社会では誰が裁く力を持っているかが極めて重要なのです。
ベイビーは自分の力をラスベガスの裏社会に知らしめるために、あのようなまどろっこしい裁定イベントを行ったに違いありません。
サイラス視点で見る【ワイルド・カード】
【ワイルド・カード】はジェイソン・ステイサムの派手なアクションを見るだけの作品ではありません。
もちろんキレキレの彼のアクションシーンは流石という出来映えです。
でもそれ以上にこの作品は「人は自分の人生を人任せにしてはいけない」というメッセージを伝えています。
ブラックジャックのゲームのように運任せの人生を送ってはいけないのです。
サイラスの視点でこの作品を考えれば、人は自分自身が考えるほど欠点だけの存在ではないことにも気づかされます。