本作「バタフライ・エフェクト」は理想的になりすぎず、かといって悲壮なだけではない現実感を伴ったテーマの上に成り立っています。

そうした意味ではトゥルーエンドこそが最もそれを象徴する結末ともいえるでしょう。

過去と向き合うこと

「あの時にこうしていれば」というのは全ての人が持つ普遍的な願望です。

しかし時間を戻してもなお、本当に望む結末は得られませんでした。

同時にエヴァンがやり直したいくつかのケースでさえ、常に悪いことだけではなく救いもありました。

このことは、過去は触れられるものではなく、拾い上げたいくつかを形を変えて現在に運ぶだけで役割を果たしている、ということを意味しています。

終盤でノートを焼き捨てたエヴァンの行動は、このテーマを象徴するものといえるでしょう。

「現在」という時間軸で考えるなら、自分が生きてきた「エネルギー的な何か」の総量は変わりません。

例え選択肢を変えても「あちらを立てればこちらが立たず」という状況が続くのかもしれません。

解決方法は「これから」エネルギーの絶対量を増やすことでしかなされないと感じられます。

誰かと出会うこと

どこに生まれ、誰と出会うのかということは、時間と同じように私達がコントロールできないものです。

もしかすると「出会わないほうが良かった関係」というのも(本作がそうだとしたら)あるのかもしれません。

しかし、「出会わない」と「生まれない」というのは似ていて全く違うものです。

自分が知らない人が「いない」わけではなく、長い高速道路のどこかで車を走らせています。

知らずに誰かに影響を与えることを認識することはできませんが、想定しておくことは必要かもしれません。

自ら命を断とうとしたエヴァンをトミーが救い出したシーンが象徴的です。

登場人物

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本作のキャストたちは、状況によって激変する人格を見事に演じきっています。

主人公・エヴァンとヒロインのケイリーの経歴に触れておきましょう。

エヴァン:アシュトン・カッチャー

繊細な感受性を持ちながら、それゆえ善悪の頓着がない主人公・エヴァンを演じたのはアシュトン・カッチャー。

本作で名声を高めた彼の代表作は「スティーブ・ジョブズ」が有名です。

アップルの設立者であり「天才・奇才」の名にふさわしいジョブズのキャスティングは、彼の繊細な魅力を味わうことができます。

ケイリー:エイミー・スマート

本作で最も幅の広い演技を要求されたであろうケイミーを演じきったのはエイミー・スマート。

2001年に公開された「ラット・レース」は本作とはうって変わってコメディ映画。

彼女の演技力の高さ、幅広さを知るためにぜひ観てほしいところです。

設定に頼らない深いメッセージを持つ作品

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本作は設定こそ「タイムリープ」ですが、時間を操作して事件を解決するといったSF的な作品ではありません。

あくまで一人の人物とその周囲をスケールを固定したまま描いたヒューマン・ドラマ的な毛色を持つ作品です。

2つの真逆ともいえる要素をエンデイングと同じようにバランスよく取り入れたコントラストが美しい本作。

それだけに幾度もの視聴に耐えうる作品に仕上がっています。改めて「バタフライ・エフェクト」の世界観に触れてみてください。

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