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「伊豆の踊子」「雪国」等で知られる文豪・川端康成の「古都」、本作品は小説のその後の世界を映画化した作品です。
名作は過去にも映画作品やドラマ作品として上映されています。
『古都(2016)』と過去作との違いを考察しながら、舞と結衣の存在が体現する古都とは何か、じっくり紐解いていきましょう。
過去作との違い
古都は川端康成の名作小説ですが、岩下志麻や山口百恵主演によって過去に映像化されています。
今作品は過去作品とは何が違っているのでしょう。
過去作品は小説に忠実な世界
過去の作品は川端康成の小説に沿ったストーリーとなっています。
本作で母親として登場した千恵子と苗子の少女時代が中心となった話です。
過去作では身分の違いからも一緒に暮らせない儚さとふたりの健気さが前面に出ています。
川端康成がこの作品を書いたときの意図としては、変わりつつある京都の姿を残すことにあったそうです。
2016年版は「その後」の物語
本作は千恵子と苗子の少女時代から時代が進み、彼女達のその後を描いた物語となっています。
千恵子と苗子、そして彼女たちの娘である舞と結衣を中心に話が進みます。
世界観も日本を離れパリを舞台にするなど、グローバル化された内容となっていました。
過去作とは古都の捉え方が違う
過去作との大きな違いは、古都の捉え方ではないでしょうか。
過去作にみる古都
川端康成が描く古都では、本作の回想シーンでもあったように生き別れた双子が祇園祭の夜に偶然出会い、心を通わせます。
一緒に暮らすことは出来ない寂しげな姿と京都が彩る四季や風景を美しく映し出すものとなっていました。
「変わりつつある京都の姿を残す」という目的の為にも京都の町屋の風景などにフォーカスを当てて制作しています。
古き良き時代の京都の街並みを堪能できる映画でもあるのです。
変わっていく京都の風景
本作品では、時間の経過と共に変わっていく京都の姿が描かれています。
町屋自体が減ってきてしまっている、という現代の特色も作品の中にて取り入れられています。
とはいえ、過去作に取り上げられている京都の美しい文化もしっかりと残しています。
変わってしまう京都の風景と、変わらない京都の美しい文化を時代に寄り添って作り上げられたのが、2016年の『古都』なのです。
舞の体現する「古都」
千恵子の娘である舞は、京都で悩む少女です。
そんな彼女はどのように「古都」を体現しているのでしょう。
京都の現在の姿
京都は日本の古都であり、美しい街並みが世界から注目されています。
しかし現実は昔なじみの老舗がどんどんと閉店していったり、立ち退きを迫られたりと厳しくなっています。
外国人へ向けた町屋ツアーを開催したり、千恵子が着付けのパートに出ているシーンもあることから呉服店一本では生活できません。
現実社会では、町屋もホテル建設のために取り壊されるなどして問題になっています。