グレムリンの犠牲者としてTVで発表されたのはただ1人、欲望の権化ディーグル夫人でした。
この欲深い老婆を道連れとしてグレムリンは消滅し、後には無残な惨劇の爪痕だけを残したのです。
なにも残らない欲望のなれの果てが上手く表現されているといえるでしょう。
グレムリンは日本人?
当時の世相からグレムリンを見てみましょう。
1980年代は日米貿易摩擦の時代
本作が上映された1984年は日米経済摩擦が問題になっていた時期で、ちょうどバブル直前の時代でもありました。
当時の日本人は好景気に浮かれて、海外に出かけては非常識な行動を取ることが問題となっていました。
その身勝手な振舞いをしてきた日本人のメタファーとして本作が執筆されたという話もあります。グ
レムリン達が街を闊歩して歩く姿は、さながら当時海外を思うがままに闊歩していた日本人の姿のようです。
歴史は繰り返す?米中貿易戦争
では現代はどうなのでしょうか。ちょうど米中貿易戦争と呼ばれている経済摩擦が生じている昨今、本作から学ぶことはあるかもしれません。
かつての日本人と同じように、強欲なグレムリンとなっている人々はいろいろなところにいます。
自国の利益しか考えないビジネスマンのような政治家、集団で他国へ出かけて街を我が物顔で闊歩する人々などは、本作から学ぶべきことがあるかもしれません。
ギズモとの別れが意味しているもの
ここではギズモとの別れがなにを物語っているのかに迫ってみます。
現代人にギズモは飼えない
あんたらのやり方はいつもそう。自然の摂理を踏みにじってでも喜びを得ようとする。モグワイの育て方も同じ。なんにも分かっとらん。人間は愚かだよ。
引用:グレムリン/配給会社:ワーナー・ブラザース
モグワイとの別れのシーンでモグワイの元の飼い主ミスター・ウィングが、ビリー一家に投げかけた言葉です。
この別れの言葉でわかること、それは欲望のままに生きる現代人は身を滅ぼす。そんな現代人にモグワイは飼えないということでしょう。
ビリー達は3つの約束を軽視していました。
誤ってモグワイに水をかけてしまい増殖しても、なんら反省せず、父ランダルに至っては売り飛ばすことを考え出す始末です。
スポイトでモグワイに水を垂らして増殖実験するあたり、ビリーが約束を軽視していたことを物語っています。
ビリーはごく普通の若者で、現代人を象徴した存在です。利己的で約束も守れない個人主義の現代人には、純粋なモグワイは飼えないということでしょう。
心に潜むグレムリンを見つめる
君にもいつか飼える時がくる。その時をモグワイは待っとるよ。
引用:グレムリン/配給会社:ワーナー・ブラザース
このミスター・ウィングの言葉通り、現代人がモグワイを飼える日はくるのでしょうか?
あなたの心にも醜悪なグレムリンは潜んでいるかもしれません。
心のどこかにグレムリンが潜んでいないかどうか、それを常に見極めながら生きるということが大切なのです。
それができれば現代人にもギズモを飼える日がくるかもしれません。
現代によみがえるグレムリン
2020年にローンチ予定のワーナーの新しいストリーミングサービスで、グレムリンの前日譚アニメが放映されます。
このアニメは、1920年代の上海を舞台として、後々骨董店の店主になる当時10歳のサム・ウィングがギズモに出会うまでを描きます。
サム・ウィングは本作でギズモと一緒にさまざまな冒険へでることになるようです。
第1作の公開から35年が過ぎた現代でも、やはりグレムリンの掲げるテーマは色あせていないということでしょう。
グレムリンを見たという方は、グレムリン2、近々放映される前日譚アニメもぜひお楽しみください。