そしてそれは時が流れても変化することはなく、ずっとレイリアの価値観として根ざしていました。
そのため、自ら命を絶つというよりも、自由になるための儀式として空に飛び立ったのではないでしょうか?
実はスタッフの間でも意見が割れているそう
レイリアが飛んだことについて「自由になるための儀式」ではないかと唱えてきましたが、このことに関しては実はスタッフの間でも見解が割れているそうです。
「メドメルに会えたことに納得して飛び立ったのではないか」と語るスタッフもいれば、「死をもって解放されることを望んだ」と解釈しているスタッフもいらっしゃるようです。
あえて正解を設けないことで見る者によって様々な受け取り方ができるシーン、あなたはどのように考えますか?
もうひとつの成長物語
ここまではレイリアを中心に考察を進めてきましたが、物語の主人公であるマキアも時の流れによって成長を遂げています。
マキアの成長
おっとりとした優しい性格で、時におどおどとしてしまうマキア。
ある夜、盗賊に襲われた集落の中で生き残っていたエリアルを拾い、育てていくなかで大きなものを学び成長していきます。
例えば飼い犬の死から「不老長寿の自分よりも周りの者の方が先にどんどん死んでいく」という現実を目の当たりにして涙を流した夜もありました。
他にもマキアを励ますため織り機でメッセージを織っていたエリアルに対し、織り機をぐちゃぐちゃにしてまた仕事を増やし、苛立ちをぶつけてしまうこともありました。
さらに物語の後半では思春期のエリアルとぶつかりながらも「どうすれば母親らしくなれるか」と模索する様子も伺うことができました。
長い年月の中で失敗や葛藤を重ねることで、母親として人間として成熟していくマキアの姿を追うことも、本作の醍醐味のひとつといえるでしょう。
二つの母子の対比
血の繋がりこそないものの、共に暮らし二人で成長を遂げてきたマキアとエリアル。
一方、血は繋がっていても会うことすら許されなかったエイリアとメドメル。この二つの母子は対比的な関係として描かれています。
暮らしを共にする中で生まれる悩み。長年会えないことへの苦しみ。それぞれの苦悩はありますが、子を思う気持ちに違いはありませんでした。
時の流れがもたらした変化、そして変わらないもの
ここでタイトルに立ち返ってみましょう。時の流れは登場人物それぞれに大きな変化をもたらしました。
マキアは母親としての責任と自覚を深く持つようになり、それは人間としての成長にも繋がりました。
レイリアはメドメルと会えない時間が積み重なるにつれ執着心ともとれる言動を見せましたが、最終的には母親として誇り高い姿をメドメルに見せることができました。
しかし一方で時間が経っても変わらないものもありました。
マキアの優しさやレイリアの自由を諦めない意志がそれに当たります。
人間として芯の部分で変わらないものを持っているからこそ、時代や環境などの変化をプラスに変えていくことができたのではないでしょうか。
あなたにとって「時の流れによって変わったこと・変わらないこと」はなんですか?この作品を通して向き合ってみてはいかがでしょうか。