楽しい歌にアレンジしたといっても、神への賛歌をないがしろにはしていません。
ハチャメチャなデロリスですが、確かな芯をもって聖歌をアレンジしています。
このことが映画を程よく締め上げ共感を生んでいるのです。
ギリギリのユーモアを楽しめる
実はキリスト教徒の多い国の方が、より映画の面白さを味わうことが出来ます。
その理由を少し見ていきましょう。
カトリック教のシスターはゴスペルを歌わない
程よい自由感のあるプロテスタントとは違い、劇中に出てくるようなカトリック教は、伝統を重んじるお堅い部分があります。
だからこそ、劇中のシスターたちがソウル感あふれる聖歌を歌うのは大きく型破りであり面白いポイントでもあります。
ヘリコプターを借りるのに祈りをささげる
シスター達は、グロリアの救出の際にヘリコプターに乗ることを拒否されパイロットに祈りを捧げます。
しかしこの祈り、いわば脅迫でした。
「薄情ゆえに地上へ落とされませんように」「髪がなくなりませんように」「たとえ救えなくても主を責めたりはいたしません」
引用元:天使にラブソングを/配給会社:タッチストーン
ありえないシスターたちのこの脅迫シーンも笑いを誘います。
「MY GUY」の替え歌
劇中では「MY GUY 」を「MY GOD」と替え歌っています。
実はこの元の歌詞は結構積極的な歌詞で、絶対に別れない、彼は自分の理想の人で絶対に裏切ったりしないという熱烈な歌なのです。
この「彼」を「神様」に置き換えて歌っているので、その有様は神様にべたぼれしている修道女なのです。
ストーカーととれるほどの熱い歌詞を明るいテンションで歌い上げられたら、アッパレという感じでしょうか。
デロリスは「自分を捨てないこと」を大切にした
デロリスの明るく陽気な姿は観ているだけで、元気をもらえます。
劇中のデロリスから自分の生き方を考えさせられる人も、いるのではないでしょうか。
異なる世界へ飛び込んだ時の在り様
デロリスは口も悪く態度も悪い、マフィアに繋がる何でもありな世界に生きています。
おまけに信仰嫌いな一面も併せ持っています。
そんな彼女は閉鎖的で、絶対神信仰、そして全員白人という全く逆の別世界へ飛びこんだのです。
通常、委縮してしまうシチュエーションですがデロリスは全く自分らしさを失いませんでした。
それどころか周りを自分の世界へ引き込んでいきます。この強さこそデロリスの魅力なのです。
シスターたちの本質を見抜いた
世間にもまれて生きてきたデロリスは、シスターたちの内なる声にも敏感に気付いています。
そうしてシスターたちが心の奥へとしまい込んだ「自分らしさ」を引き出していくのです。
聖歌のアレンジは、シスターたちが自分らしさを表現するのに必須のものだったのです。
自分の居場所をつくるために周りを変える
自分の居場所が窮屈に感じたら、自分をしまい込み我慢するのではなく、自然体のままで自ら居場所を切り開いていくという姿勢も必要です。
デロリスは堅苦しい教会の雰囲気を変えていくことで、違和感を感じていた教会という場所を自分にとって快適な場所に変えています。
相容れない世界にも共通点はある
デロリスは突然自分の世界とは全く逆の世界に飛び込みます。