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アメリカ西部劇において不朽の名作といえば、1953年に公開された映画「シェーン」ではないでしょうか。
“シェーン カムバック”のフレーズが、日本のCMで使われたことでも有名です。
映画を観たことが無くても、このフレーズだけ知っているという人も少なくないでしょう。
映画「シェーン」は一見したところ勧善懲悪のヒーロー映画ですが、本当にそうでしょうか。
残念ながら、その解釈ではこの映画の本質を見抜けていません。
そんな人のために今回は、名作「シェーン」の隠された意図を解説していきます。
時代背景
この映画の原作は、1892年にアメリカで起こったジョンソン郡戦争をもとに作られた小説「シェーン」です。
ジョンソン郡戦争を含む当時の時代背景を知ることで、登場人物たちの心情を紐解くことが可能になります。
アメリカ南北戦争が終わった後、まだ未開拓であったアメリカ西部の開拓を政府が推し進めようとしていました。
当時の西部には先住民のインディアンが定住しており、彼らの土地を奪って勢力を拡大するもくろみがあったのです。
ホームステッド法
1890年にホームステッド法という法律が施行されました。
入植農民たちがこの西部に5年間住んで農地開拓をすると、その土地を無償で獲得できることになったのです。
そのため多くの人々が各地から西部を目指して押し寄せてきました。
登録料14ドル(現在レートで約1500円)を支払えば5年で土地をもらえるという夢のような条件。
当時のアメリカ人でなくとも西部へ移住したくなります。
ジョンソン郡戦争
入植農民より先に西部未開拓地ジョンソン郡に牧畜業の地主が住み着いていました。
この地主は、ホームステッド法により波のように押しかけたよそ者に迷惑していました。
この牧畜業の地主も、元はといえば先住民のインディアンを追い払って土地を奪い取った移民です。
しかし、地主にとってはやっとの思いで手に入れた土地。
法律ができたからとはいえ、のこのこ後からやってきた農民に好き勝手にされてはたまったものではありません。
牧畜業の地主は暗殺者を雇い、入植農民たちを追い払う計画を立てたのです。実際に農民のうちの2人が殺されてしまいました。
負けじと入植農民たちも一致団結し徹底抗戦。戦争に発展する手前で政府が介入したことで最悪の事態を免れたのでした。
この事件の舞台となったジョンソン郡から名前をとり、ジョンソン郡戦争と呼ばれるようになりました。
南北戦争によってアメリカが合衆国として1つの国にまとめられ、それまでの銃による解決が過去のものとなっていました。
「シェーン」はそんな銃の時代が終わりを告げたアメリカにおいて、社会に置き去りにされたガンマンたちを描いた作品です。
ショーンの正体
無口なショーンは自分の過去を一切話しません。
それはまるで過去との決別をしたかのよう。敵との銃対決において、0.5秒の早撃ちを披露したショーンは一体何者なのでしょうか。