考察すると、GANTZは元々死んだ人を使用するようにプログラムされているのでしょう。
一度死んでいる人間ならば、戦いで再び死んでも兵士として使用した罪悪感が軽いのかもしれません。
また、死んでしまった人間の方が生き残りたいという気持ちが強く、その思いが攻撃性に反映されるのかもしれません。
公には秘密事項となっている
GANTZがおこなっている実戦訓練は国民に秘密裏で行っています。
生きている人間では、直ぐに真実がばれてしまうので死人を使うしかなかったのではないでしょうか。
また公で秘密裏に行われている理由を深堀りしてみると、非人道的な訓練だった為と考えられます。
地球への侵略を食い止める為とはいえ、シュミレーションのように罪のない星人を残虐していく行為は避難の対象になるでしょう。
しかし『GANTZ』の中には、正義ばかりでは大切なものを守ることは出来ない、というニュアンスも含まれているように感じます。
玄野の心の成長
『GANTZ』では生と死を通して、様々な人間の心が描かれています。
主人公である玄野も劇中で大きく成長していくことになるのです。
玄野の戦いの意味
玄野は環境に適応する能力が高い人物といえますが、言い換えれば環境に流されやすい性格です。
当初GANTZに飛ばされた場所で、迷いなく星人を倒していく姿には彼の信念を感じることが出来ません。
加藤が暴力に難色を示していたのは、彼の信念がそうさせていたのでしょう。
小島多恵の存在が玄野を変えた
どこか非情さを感じさせる玄野に、人としての芯を与えたのはおそらく小島多恵の存在でしょう。
人には必ず役目がある、その能力を最大限に発揮できる場所がある。
引用:GANTZ/配給会社:東宝
就活の時に意味もなく使用していた言葉が、真の意味を持ってきます。
惰性で生きてきた玄野にとって、GANTZがある世界は自分を発揮出来る場所だったのでしょう。
自分よりも弱い人間を守っていきたいという思いが、空っぽの玄野の心を満たしたのです。
他者を守るために強くなるという思いは、決して肉体的なことばかりではありません。
この時の玄野の想いは、後編の『GANTZ PERFECT ANSWER』へと繋がっていくものです。
GANTZの存在意義こそがメッセージ
GANTZは何のために存在するのか、という疑問が多く浮上しています。
考えさせる映画であり、その答えを観客に投げかけているのです。
正義でもあり悪でもあるGANTZの存在をどう捉えるか、そこに明確な答えは見つかりません。
本作の後編となる『GANTZ PERFECT ANSWER』を観ることで、また違った解釈が生まれるのではないでしょうか。