本作は、密室における極限の状況下での人間が主に描かれています。
過酷な状況下での人間の心理を緻密に描かれているため、登場人物のバックグラウンドは二の次でした。
人間の行動と心理の実験ともいえる本作。
主人公以外の登場人物の性格などをあえて知らない方が、より心理戦を際立たせることができるのです。
作品に残された謎
明かされることのなかった謎
物語には明かされていない事柄が多くあります。
こちらでまとめましたのでご紹介します。
- 犯人は誰なのか?どういう目的でゲームを開催したのか?
- なぜ高校生を狙うのか?
- テレビを壊したとき、翌朝には新品のテレビがあるなど犯人は近くにいたのか?
- 前半戦と後半戦が終了したら、本当に1億円を支払うのか?
- 生き残った人が次の人狼になることから、ゲームはずっと行われているのか?
これらの点は作中一切明かされることがありませんでした。
『人狼ゲーム』では、人狼というゲームを通して、極限の状況下での心理戦が主に描かれています。
そのために、その他の要素が描かれなかったのかもしれません。
描かれなかった後半戦の行方は
ラストで人狼ゲームには前半と後半があり、後半戦には前半戦の生き残りが人狼として参加することが判明しました。
つまり後半戦は何も知らない高校生8人と、前半を勝ち抜いた愛梨とこのみとの戦いになるのです。
真理絵と友宏は人狼としてあと一歩のところまで行きましたが、真理絵が妹を救うため、敗退しました。
後半戦が描かれることはありませんでしたが、愛梨とこのみにとっても厳しい戦いになることが予想されます。
ちなみに映画のラストのシーンで、愛梨はほぼ最後に部屋に入りました(最後はこのみです)。
前半戦を見ると、真理絵も最後に部屋に入ってきています。
このシーンは真理絵が人狼であるという伏線だったのかもしれません。
多彩な役割と視点を楽しめる人狼シリーズ
「人狼」のシリーズは、劇場版7作、そしてテレビドラマ版が1作あります。
テレビドラマ版『人狼ゲーム ロストエデン』は、劇場版『人狼ゲーム インフェルノ』の続編となり、キャストも同じです。
しかし『人狼ゲーム ロストエデン』と『人狼ゲーム インフェルノ』以外の作品は、1作で完結の物語となっています。
このシリーズの最大の特徴は、シリーズごとに登場する新たな役割とシリーズによって主人公の役割が変わることです。
本作で出てくる役割は「村人」「人狼」「預言者」のみです。
そして主人公は「村人」と、人狼というゲームのなかでは一番ベーシックな設定でした。
しかし役割が増えるにつれ心理戦は更に複雑さを増し、主人公の役割によってもゲームの見方が大きく変わります。