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第84回アカデミー賞で編集賞を受賞し、興行収入は12.5億円を突破した【ドラゴン・タトゥーの女】。
ヒロイン・リズベットが抱える闇と、変わっていく姿、ミカエルに抱いた感情を徹底的に考察していきます。
さまざまな差別や迫害を受けたリズベットの抱える複雑な思いとはどういったものだったのでしょうか。
不幸な女たちの逆転劇
リズベットの孤独な過去
この作品に登場する女性に幸福な女性は1人もいません。
不幸の代表ともいえるのが、ドラゴンタトゥーを背中に持つヒロイン・リズベットです。
幼い頃から愛情というものを知らずに育ち、父親を80%焼き殺してしまった過去を持ちます。
暴力や性的な暴力も受け、男性という存在にも恐怖心を抱き、女性と関係を多く持っていました。
危険人物や精神異常者として扱われ、見た目を凶暴に仕立てることが彼女にとっては自己防衛であったのでしょう。
自由に自分を見せることが、自分自身を受け入れることのできる唯一の方法だったのかもしれません。
ハリエットの逃げることで手にした平穏
ハリエットもまた不幸な少女でした。
自分に性的暴力を加えた父親をやっとの思いで突き落とし、呪縛から解き放たれたと思えば、父の背中を見て育った兄が台頭してくるのです。
父がいなくなっても、父の変わりは生まれてきたのです。
遠くの学校へと行ったはずの兄が地元のパレードに参列していた時、ハリエットは10代ながらに自分の今までをすべて捨てます。
まだ幼い少女が自身を死亡したことにし、家族も名前さえも捨ててただ逃げることしか出来なかったのです。
いとこのアニタが色々と手伝ってくれ、面倒を見てくれていたとしても彼女の抱えた傷は並大抵のものではなかったでしょう。
それでも1から生まれ変わり、生きていくしかなかったのです。
それが父を自らの手で殺害したハリエットの贖罪でもあったのかもしれません。
自分の持つ能力だけが自分を守る武器
抜群の記憶力とハッキング能力
見たものや聞いたことはすぐに記憶され、どこまででも潜っていけるハッキング能力がリズベットの生きていく力でした。
後見人との定期的な面談やお金の援助があり、週に数回のアルバイト生活を送りながら、彼女は自分の能力も最大限に活かします。
調査以来を受ければ徹底的に調べ上げ、どこまでも事実を突き止めました。
後見人が新しく変わり、性的暴力を受ければ、後見人にさえも逃げられない状況を作り上げたのです。
そうやって女性蔑視され、人間としても蔑まれていたリズベットは実力で生きていくしかなかったのでしょう。
素行の悪ささえも生きていく為の武器
ミカエルと関わっていくうちに、リズベットの可愛らしい一面を垣間見ることが出来ます。
そういった面を見ていると、どんなにすごい特技を持っていてもリズベットは23歳の女の子であることが分かるのです。