それは「ビデオの複製を作って他人に渡すこと」でした。
玲子はダビングを行って人に渡し、高山はダビングを行っていなかったのです。
メディアへの究極の復讐
「呪いのビデオを観た者は、それをダビングして他者に渡さないと1週間後に死ぬ」というのが事実だとしたら…。
自分の息子を救うためとはいえ、他人が死ぬかもしれないビデオを本気で拡散させようとするのでしょうか。
母親の決意がどこにあるのか、それがわからないままに映画はラストシーンを迎えます。
確かなのは、息子を守るために必死になって行動し、迫りくる恐怖と戦っていること。
ここで重ねずにはいられないのは、志津子のために復讐を誓った貞子の愛と玲子が守りたいと思う息子への愛です。
大切な人の為にわが身を捨てでも動くことができる点では、どこか似ている部分があるのではないでしょうか。
まとめ
ビデオの拡散により半永久的な復讐を実現した貞子
玲子が見つけ出したと思っている「貞子の呪いを解く方法」は、確実なものなのでしょうか?
貞子の呪いを解く方法が本当に「呪いのビデオの複製を作って他人に渡すこと」だとしたら…。
母親や自分の人生を台無しにしたマスメディアに対して、なんと効果的な復讐なのでしょう。
貞子をそこまで突き動かした背景には、代々差別的に扱われた悔しさや悲しみがあったと考えられます。
そして呪い殺すという方法でしか復讐できない貞子には同情の余地すらあるのかもしれません。
現代における社会的制裁の無意識さ
SNSが普及した現在、「いいね!」やフォロワーの数を競ってやまない風潮に対しても、貞子の呪いは警告を発しているようでもあります。
「面白ければOK」という感覚で、たとえば超能力者という社会における異物を弄ぶようなことをすれば多くの人が死ぬことになる。
自由に匿名で発言できる気軽さが人の命を奪うこともあり、自分にとっても命取りになりかねません。
貞子の復讐心の裏にある想いは、「認めて欲しかった」という悲しいものではないでしょうか。
そして呪いを解く方法から考えられるのは、現代における無意識な社会的差別・社会的制裁への警鐘ともいえるのです。
人種や宗教、思想や信仰、そして目に見えない力…。
そういったものすべてを自分の価値観だけで判断するのではなく、まずは認識し、否定しないこと。