出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B01M7ZXL9S/cinema-notes-22
「シングストリート 未来へのうた」は音楽を通して描かれる青春ストーリーです。
監督は自身も音楽家であるジョン・カーニー。
彼の人生を投影しているといわれるこの映画は、人生に悩む若者たちの恋愛や家族愛がテーマです。
しかし、全編を通して歌を中心に登場人物の感情が描写されるので、一度見ただけだとわかりづらい部分もあるのではないでしょうか。
そこで今回は、映画に登場する歌を中心に登場人物たちの愛について考察してみたいと思います。
最後のテープからわかる深い愛情
この映画では、コナーからラフィーナに届けられるミュージックテープが重要な小道具になっています。
劇中、コナーからは数回テープが届けられますが、中でも重要な意味を持っているのが最後のテープでした。
このテープを聞いたことでラフィーナは元気を取り戻し、落ち込む前の彼女に戻ることができたのです。
では、コナーが最後に送ったテープにはどんな意味があったのでしょうか。
それは、相手に求めるばかりの子供の愛ではなく、相手を思いやり支えあうという大人の愛への変化を象徴するものでした。
では、なぜそう考えられるのか、実際にコナーが歌っている歌詞の内容や、その前後のシーンの演出から考えてみましょう。
コナーにとってラフィーナは必要な存在だった
シングストリートはコナーとラフィーナのラブストーリーでもあります。
二人はギグの直前までは上手くいっている雰囲気でしたが、結局彼女はエヴァンとロンドンに行ってしまいました。
しかし、この出来事によってコナーはラフィーナへの愛をより深め、また常に自分より上位にいた彼女と対等な立場になるきっかけになります。
一度ラフィーナへの興味を失った
ロンドンに行ったラフィーナが騙されて帰ってきた後、コナーと再会しましたが彼女は以前の彼女ではありませんでした。
そんなラフィーナの姿に、コナーはかつて彼女に感じた魅力を感じなくなってしまったのでしょう。
これからギグのリハーサルに行くと言うコナーに
その話聞きたい!
引用:シングストリート 未来へのうた/配給会社:ギャガ
と顔を輝かせる彼女に対して
嫌だ!
引用:シングストリート 未来へのうた/配給会社:ギャガ
と冷たくあしらいました。これは一時的に彼女への愛が薄れたことを感じさせます。
彼女への愛を再認識した
この出来事でいったんラフィーナに幻滅したコナーでしたが、新しく書いた曲は彼女を思ったものでした。
そして、エイモンに相談した結果、自分がロンドンに連れて行こうという気持ちになり、彼女に送るテープを用意します。
この気持ちの変化は、ただ単にラフィーナへの愛を再確認しただけではありません。
これまでコナーはラフィーナにずっと引っ張られていました。
音楽やビデオに関することはもちろん、恋愛やキスの仕方まで彼女に教わっています。
しかし、この時点からコナーの方がラフィーナを支える側にかわりました。
コナーの成長がわかる二つの出来事
そのことが明確にわかる出来事が映画の中に2か所あります。
それが、バリーとの和解と校長への挑戦です。