出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07DCVSM4J/?tag=cinema-notes-22
本作は集英社の目黒あむが手がけた同タイトルの原作漫画を2018年に神徳幸治監督が実写映画化した作品です。
主演には今をときめくKing&Princeの平野紫耀とヒロインに平祐奈、更に脇を横浜流星らで固めています。
物語は不良の鬼瀬大雅とヘタレな木暮奈緒の不器用な恋物語という少女漫画の王道を行くシンプルな構成。
しかもいきなり鬼瀬の方からプロポーズも兼ねた告白をされるという衝撃の始まりでありました。
本稿ではそんな突然のプロポーズから物語が始まった理由をネタバレ前提で考察していきましょう。
また、奈緒の叔父にあたる宗介が一度鬼瀬を突き放した意図、そして権瓦からの暴行に耐えた目的も見ていきます。
孤独
かっこいい不良キャラと弱虫なドジっ子キャラの恋愛物語という王道的な話でありながら実は一つのテーマが貫かれています。
それは“孤独”という傷を抱えた者達の話であり、それが彼らのキャラクターに影を落しているということです。
鬼瀬も奈緒も共通しているのはその点で、だからこそ人付き合いに臆病であり素直になることが中々出来ません。
ましてや思春期で若いため人間性の本質までは中々見抜けないもので、だからどうしてもぶつかり合います。
しかし、その関係性が傷の舐め合いで終わらずしっかりお互いの持つ孤独と向き合い乗り越えていくのです。
だからラブストーリーである以上に成長物語というのが本作における大きな特徴なのではないでしょうか。
この点を念頭において本題を考察していきましょう。
突然プロポーズした理由
本作はいきなり「俺と結婚を前提に付き合ってください!」というプロポーズから始まります。
ほぼ奇襲ともいえる形の告白に当然困惑する鬼瀬ですが、一体何を思ってこんなことをしたのでしょうか?
あらすじを追いながらじっくり考察していきましょう。
前祝いの法則
まず直後の昼食のシーンで分かるのはこれが“前祝いの法則”に沿ったプロポーズということです。
鬼瀬は母子家庭育ちもあって表の不良キャラとは正反対に内面は繊細で優しい人に描かれています。
そんな彼は奈緒との昼食の中で、将来は料理屋としてお店を持ちたいという夢を語っていました。
もうこの時から彼は自分の将来像を明確に持ち、その様をありありと想像しながら実現したものとしています。
そしてその将来の夢は勿論隣に奈緒が居てくれるという所まで含めてイメージしているのでしょう。
こうやって自分の将来を具体的に言語化し行動することが前祝い(予祝)になるのです。
まずこのプロポーズで鬼瀬は将来の自分のイメージを既に明確にしていたのではないしょうか。
不良キャラ
そんな鬼瀬が表向きに作っている不良キャラも前祝いだと思うと強くなったイメージを持っているからです。
赤髪なのも戦隊レッドに憧れを持っているからで、妄想でもなりきりでもなく心からヒーローを信じています。
とはいえ本当の意味での不良ではなく、自分が大切だと思った仲間は命がけで守り手を差し伸べて守っているのです。
特に溺れ死にかけた三咲を命がけで助けるシーンは紛れもないヒーローの姿として描かれています。
つまり元来強いタイプなのではなく強い自分をイメージして作り上げている後天的な努力型ではないでしょうか。
だからこそただの格好つけではなく本当に格好良さを全力で追求する理想の男子であるのでしょう。