出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B0866HY89Q/?tag=cinema-notes-22

2019年公開の『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』は、ボブ・ディランが曲を提供したことで話題となった映画です。

ひっそりと公開され、多くの感動を呼んだ家族のストーリーは知る人ぞ知る名作といえるでしょう。

「信頼できない語り手」を軸に朗読された言葉を紐解いていきます。

また劇中ロドリゴがディランに声をかけた理由についても深く考察していきましょう。

エレーナが朗読した言葉の意味

書店

本作は家族というものを縦の時間軸で描いた作品です。

ラストシーンは、ロドリゴとディランの娘であるエレーナによる朗読で幕を下ろします。

ナレーターも務めたエレーナ

劇中では後半部分から女性のナレーターが入りましたが、このナレーターこそエレーナです。

そして彼女が書店で朗読した自伝のタイトルは「Life Itself(人生そのもの)」 というものでした。

彼女がラストで使用した言葉は、この自伝のものであり、物語を締めくくる言葉となっています。

本作そのものが、彼女の自伝の中にあった物語なのです。

朗読された言葉「生きること」

エレーナが朗読したのは、母であるディランの言葉です。

私達は荒波を乗り越えてきた、これからもそう。

それが人生「生きる」ってことよ。

引用:ライフ・イットセルフ 未来に続く物語/配給会社:アマゾン・スタジオズ

ディランは、バスの事故で死亡したアビーから生まれた奇跡の子供です。

彼女は出生からすでに荒波を乗り越えてきたといえるでしょう。

また彼女の父親であるディランは、アネット・べニングが演じるモリス医師の前で自殺をしているのです。

両親を亡くしたディランの人生は、何かがずっと欠けたものだったに違いありません。

母となったディランは、娘エレーナに生きることのすばらしさをしっかりと伝えていたのです。

だからこそ、エレーナは母の言葉を自伝を通して皆に伝えたのではないでしょうか。

朗読された言葉「前に進むこと」

想像以上に過酷な試練、それに立ち向かい前に進めば愛を見つけられる。

引用:ライフ・イットセルフ 未来に続く物語/配給会社:アマゾン・スタジオズ

幸せの絶頂にいた夫婦が、ひとつの事故のせいで不幸のどん底に落ちました。

たったひとつの事故が、家族に歪みを生じさせ運命の歯車が狂ってしまったのです。

ディランは、母親のぬくもりを感じたことがないのでしょう。

自分は不幸だと思うことで、立ち止まってしまう人も多いのではないでしょうか。

しかし、しっかりと前に進むことで失った愛は再び手に入るのだ、とディランは知っていたのです。

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