仕事に対するキャパシティよりもジュールズの心を揺らしたのが、夫マットの浮気でした。
自分が会社のことで手一杯で、家庭をおろそかにしてしまったのが原因では?
その迷いは、ジュールズのCEO採用の決断を後押ししました。
ベンからジュールズへのメッセージ
ですが本心では乗り気でないジュールズ。また、それが家庭の問題の根本的解決にもならないことを知っています。
それでもこれが正しい道だとベンに告げる彼女は、まるで自分に言い聞かせているようです。
そんなジュールズに、ベンは会社をほかの誰かの手に渡すべきではないと言います。
なぜなら、彼女がどれほど自分のファッションサイトを大切にしているかを知っているから。
ジュールズ自身も見失っていた彼女にとって大切なことをベンは思い出させてくれたのでした。
太極拳は何を示している?
映画は太極拳のシーンで始まります。そしてラストも、同じく太極拳のシーン。
冒頭と違うのは、ベンひとりではなくジュールズも一緒に参加している点です。
このシーンはどのような意味を持つのでしょうか。
太極拳の精神
そもそもなぜ太極拳なのか?それは、この体術がもつ精神が映画のメッセージとリンクするためではないでしょうか。
太極拳で大切なのは、自分の持つ力を最大限有効に活用することです。
そのためには自分のことをよく知らなくてはなりません。
自分のことをよく知れば、おのずと選ぶべき道が見えてきます。
相手を通して自分を知ること
ラストの太極拳のシーンは、ベンとジュールズの友情関係を表したものでもあります。
お互いが出会うまでふたりの人生はまったく異なるものでした。
ですが、それぞれが相手のことを知り、相手のスタイルを学ぶことでいつしか固い絆で結ばれるようになります。
映画の前半は、主にベンがジュールズの世界を学んでいます。
昔ながらの会社で役職を持ち働いてきたベンにとって、ジュールズの生き方や働き方は新鮮なものでした。
そして後半では、ジュールズがベンの家を訪れたりキャリアを聴いたりと、彼のことを知っていきます。
新たな人と出会い相手を知ることは、時に自分を見つめなおすことに繋がるもの。
ジュールズはベンとの交流を通して、結果的に自分自身のこともより深く知ることができたのです。
変えるべきもの、変えてはいけないもの
人生の中で変化を避けることはできません。
人は年を取りますし、周りの環境もいつまでも同じではないでしょう。
そうした変化をネガティブに捉えていると、人生は暗いものになってしまいます。
ベンのように柔軟に、変化を楽しむことが大切です。