少なからず本気で人工飼育に集中しようとしていたキャスリンは、今の子ザメに必要なのは体力の回復だと分かっています。
だからこそ、カルヴィンの指示で人の目に触れさせられた瞬間、危険を顧みずプールに飛び込むのです。
後述しますが、カルヴィンは非常に私利私欲が強く、行動と判断の大元はお金への欲望にあります。
人工飼育に賛成していたカルヴィンですが、その誤った判断で子ザメは死にました。
ある意味カルヴィンにとっても、人工飼育は初めてのチャレンジだったのです。
写真家「大フィリップ」の欲望
母ザメに対して「自分が生餌」になって、おびき寄せている間に、トンネルの修理をするよう指示するフィリップ。
その行動の真意は何だったのでしょうか。自己犠牲にあふれるこの行動、実はフィリップの欲望が絡んでいました。
カルヴィンと意気投合する
施設の館長であり、欲望のために人工飼育する子ザメを殺してしまったカルヴィンとフィリップは、意気投合するほどの仲でした。
海底の王国に2人ともお似合いだ
引用:ジョーズ3/配給会社:ユニバーサル映画
フィリップのことを「大フィリップ」と呼ぶキャスリンに対して、マイクはこう言いました(「2人」とはフィリップとカルヴィンのこと)。
欲望深い2人が意気投合するには、時間はかからなかったのです。
さらに、フィリップは自身が生餌になるときも、良い写真を撮ることばかりを考えています。
これは仕事に対する使命感であり、お金を稼ぎたいがために考えた結果。
常に写真の取れ高ばかり気にするフィリップは、欲望のためにおとりとなることが、一石二鳥だと考えたのです。
前作のボーン市長の役割
マーティンが主人公をしていたJAWSシリーズの1と2では、常に欲深いボーン市長がマーティンの邪魔をします。
本作では、マイク主人公が変わっているのに合わせて、カルヴィンとフィリップという欲望深い人物を、ボーン市長の代わりとしました。
つまり製作側の意図としても、フィリップ=ボーン市長なのです。
2台で回した方が安心だろ。一生食えるぞいい写真を撮ればな
引用:ジョーズ3/配給会社:ユニバーサル映画
これはおとりとなる直前のフィリップのセリフ。相棒のジャックと、2台のカメラを回せば高い収益の発生する写真が撮れる。
欲深いフィリップは、自らがおとりとなるというよりは、自らの欲望のために危険を冒すのでした。
良い写真=値段の高い写真
作品を通してみると、フィリップという人物は一貫して、お金のことを常に考える人物でした。
いいぞこりゃツイてる。撮影しながら殺せば、宣伝効果も満点。見せ場へ誘いだし、決められた時刻に腹を裂く。
引用:ジョーズ3/配給会社:ユニバーサル映画
これは子ザメが入り江に入り込んだ時に、子ザメをどうするか話し合った際に出したフィリップのセリフです。
この時から常にお金のことが頭に合ったのでした。ある意味、分かりやすく一貫したその態度を最後のおとりのシーンでも発揮したのです。
フィリップがおとりとなったのは、マイクにトンネルの修理を安全にさせるというよりは、自分の利益のため。
そう思って、フィリップは良い写真を撮るため、おとりとなるのでした。
パニックホラー映画の金字塔『JAWS』シリーズ
『ロスト・バケーション』や『深海47m』など、さまざまなサメが登場するパニックホラー映画が製作されています。
その大きな土台を作ったのは、間違いなく『JAWS』シリーズであり、シリーズに登場するサメ(shark)たちでしょう。
シリーズで描かれるのはいつも、人の欲望に起因するサメたちの逆襲です。
サメにとっても、人類は恐ろしい相手であり、自然界にとっては人工飼育など到底受け入れがたいものでしょう。