まず本作で描かれる呪いのポイントは「上手く行きかけたら失敗」ということです。
最初から失敗続きなのではなく、物事は成功する所まで成功します。
しかし、成功したと思った直後に必ずボロが出て失敗に終わるのです。
ジミーは仕事も家庭も失いその日暮らし、クライドもしがない場末のバー経営という毎日。
つまり幸せや成功が長続きしないという不運体質が染みついてしまっています。
これはもうローガン兄弟にもどうしようもないことだったのではないでしょうか。
想定外の「カリフラワー」計画
その不運体質から脱却する為に計画した「カリフラワー」もまたトラブル続きでした。
特に工事が予定より早く終わったから、爆破強盗の実行が前倒しになる辺りは注目です。
このせいでジミー達は予定とはまるで違う動きをせざるを得ませんでした。
結果として上手くお金は盗めたものの、上記したラストシーンで全て台無しに。
ただ、それでも半年間警察の目を欺くことが出来たのは凄いかもしれません。
単なる片田舎の犯罪者が思いついた事件にしては非常に用意周到に策が練られています。
根本が間違っている
こうして突き詰めていくと、ローガン家の呪いは別に「呪い」でも何でもありません。
単にジミー達犯罪者に計画性がなかっただけのことではないでしょうか。
事前になすべき手続きやシミュレーションなどを行っておけばよかったのです。
カリフラワーの爆破強盗にしたって、工事が予定より早く終わるのは想像出来たでしょう。
この根本の部分が間違っているから、行き当たりばったりで上手く行かないのです。
成功よりも失敗に学ぶ
こうしてみると、ローガン兄弟の犯罪を通して大事なメッセージが伝わってきます。
それは成功よりも失敗に学ぶことの重要性ではないでしょうか。
ローガン兄弟達が結末までも失敗だったのは失敗に学ばないからです。
大体物事が上手く行く場合は神懸かりの偶然や奇跡が作用しています。
しかし、逆に上手く行かない物事の場合殆どの原因が自分側にあるのです。
だから、成功体験を真似するより自身の失敗したことをしなければ不運は回避出来ます。
ローガン兄弟ら本作の犯罪者に足りなかったのはこの視点ではないでしょうか。
根は善良な人たち
本作の犯罪者達は確かに失敗続きですが、根は善良な人たちです。
盗んだお金を自分の為じゃなく、社会のために寄付金として投資しています。
だから、ローガン兄弟達はやり方さえ間違えなければ上手く行くのです。
勿論犯罪行為は決して許されることではなく、ローガン達の犯罪は制裁を下さないといけません。
しかし、そんな犯罪者達にも犯罪者なりの理屈なりドラマなりがあるのです。
そのことを決して説教臭くない形で、明るく爽やかに見せています。