雄大は、自己中心的で異常に独占欲の強い人間になっていました。
親から十分な愛を受けられなかった幼少期のトラウマの影響でしょうか。
他人のものを横取りして自分のものにしたいという欲望
雄大が百合子をモデルにしようとしたのは強い独占欲のあらわれでしょう。他人の物を欲しがる傾向も強いようです。
百合子を恭介の新しい婚約者と勘違いした雄大は、彼女を奪うことで恭介が落胆する姿を楽しもうとしました。
最初は百合子を殺害する意識はなかったのかも知れません。
ただ、亜希子が焼死したときに撮影に失敗したことから、次のチャンスを狙っていたのは明らかです。
異常な思想や感情の昂りを見せる雄大ですが、実は臆病で殺人に手を染める度胸など無かったと思われます。
巧妙に仕組まれた恭介の罠
恭介は、雄大には自己中心的な執着心があることと、実際には臆病で自分からは手を下さないことを知っていたのです。
朱里から真実を聞いた時に、朱里と雄大が極端な主従関係にあることにも気が付きました。
百合子を軟禁させたのも、ひとりでは何もできない雄大の性格がわかっていて、安全を確信できたからでしょう。
恭介はそこに目をつけて復讐のシナリオを考えたのです。
屈折した愛がもたらす悲劇
朱里と雄大の異常性は、父親の虐待が直接の原因です。
精神異常ともいえるその行動は、父親を殺害した後に表面に出てきたようです。
親の愛に飢えた姉弟の苦悩
普通の家族なら幼少期にふんだんに受けられるはずの親の愛。
成長するにつれて豊かな感性が育つはずなのに、姉弟には肝心な愛情が欠乏していました。
愛をどう表現してよいのかわからない2人は、屈折した愛に溺れてしまいます。
父親からの虐待と性的暴力など、理解しがたい生活の中で2人の精神は破綻したのでしょう。
自傷することで親のトラウマから開放されることを願う、異常とも思える行動も、幼少期の悲劇が影響していたのです。
異常な行動に巻き込まれる小林
木原坂家で起きた殺人事件を追っていた事件記者の小林は、2人の異常な行動に巻き込まれたひとりです。
姉弟の自傷に加担したことから、朱里への同情が異常な愛情に発展。彼にも2人に通じる過去があったかもしれません。
小林は朱里に依存していたのでしょうか。朱里をいつも近くに感じていられるだけで、心の均衡を保っていました。
朱里の行方が分からなくなってパニックを起こす姿は、薬物依存症の錯乱状態にも似ています。
朱里の愛情は相手を支配することで満たされ、小林は朱里に支配されることで満たされていました。
2人は共依存の関係にあったともいえます。
朱里の性的な支配欲
朱里の性癖は父親の強制的な性的関係に端を発するもので、途方もなく暗く深い闇を連想させます。