モニカと同じ声、同じ香り、そして同じぬくもりに触れたデイビッドはクローンのモニカと一緒に永遠の眠りにつくことを選びます。

最後の一日はデイビッドは求めて求めてやまなかった一日でもあるのでしょう。そして得たい言葉を得ることができました。「愛してる」と。

モニカが存在しない以上、デイビッドはこれ以上永らえても悲しい存在になるのみです。

最後に自分が自分らしくいられた日を抱いて、愛するモニカと眠りについたのは絶望からゆえとも取れますが、クローンと過ごした一日、そこにわずかな救いがあったことは確かでしょう。

救いがあったからこそデイビッドは永遠の眠りにつくことができたのかもしれません。

「人間」とはなにか?

人間とは何か (岩波文庫)

作品中に出てくる捨てられたロボットの全てが「人間を喜ばせるために」造られたはずです。

しかし、人間側の都合が悪くなると簡単に「捨てられてしまう」存在でもあるという闇もリアルに描かれています。

捨てられても「母親から愛されること」を決して諦めることができないプログラムゆえのデイヴィッド行動は「愛とはなにか」「人間とはなにか」について大きな疑問を投げかけています。

さらにこの疑問は「残酷」なのは「人間か?ロボットか?」という深層までを探っているのです。

作品中では、デイヴィッドが捨てられてブルー・フェアリーを探す旅の中で仲間になるロボットたちは、人間に施されたプログラムや指令ではなく「自分たちの意思」によってデイヴィッドを助けます。

彼らの必死に「生きよう」「愛されよう」とする姿は、作品中に登場する人間よりも温かみがあり「人間味」を感じられる存在として描かれているのです。

この描写からも「人間とはなにか」ということについて疑問をスピルバーグ監督は投げかけているようにも思われます。

【A.I.】のストーリーのカギ

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

この作品では、人間の目的を達成するという都合のためだけに誕生した、親をもたない「孤児」のロボットであるデイヴィッドの悲劇が描かれるとともにスティーヴン・スピルバーグ監督のメッセージが色濃く表現されているのです。

次章ではそのメッセージについて詳しく解説しましょう。

デイビッドを通して描き出された人間の残酷さ

ハーレイ・ジョエル・オスメント 47868 写真 25X20cm
この作品には、現代社会が現時点から取り組まなければならならい問題に警鐘を鳴らしされていることに加えて、スティーヴン・スピルバーグ監督からのさまざまなメッセージも込められています。

こちらでは、そのメッセージの中からいくつかピックアップして解説していきましょう。

主人公が孤独な「少年」型次世代ロボットである意味

スティーヴン・スピルバーグ監督は、代表作と知られる【E.T.】の作品においても家族はいても「家庭内で精神的に孤独な少年」が主人公として設定されています。

【A.I.】においても「製造」されることで誕生するデイヴィッドには家族や親は存在しない「孤独な少年」とされているのです。

スピルバーグ監督は、この「孤独な少年」を主人公にすることで一般社会の「家族がいれば孤独なはずがない」「子どもは親や家族に守られるべき存在である」という建前を覆し、現代社会の子どもたちが抱える問題を忠実に描くことに成功しています。

不完全な家庭

さらに監督は「問題に巻き込まれる子どもたちは、なぜ存在するのか?」という答えとして「不完全な家庭」を背景として描いています。

要するに監督は、大人たちの都合によって社会は見えないところで混沌し、その影響は「不完全な家庭」というかたちで「子どもたちを脅かしている」ことをメッセージとして伝えているのです。

「ロボットは人間を救う」が「人間はロボットを救わない」

ハーレイ・ジョエル・オスメント A.I. 47867写真 25X20cm

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