医者のロバートに示談の話をされたときも、示談が何かもわからないといって、ロバートを安心させました。
普通なら大金持ちにケガをさせられたとなれば、多額の示談金を請求してもおかしくない場面で、です。
チャンスの私心のなさをベンは気に入り、心の底から信頼したのです。
チャンスの成長がわかるあのシーン
チャンスはベンとの交流や、そこからの様々な体験で成長しました。
チャンスは「人の死」を理解できるほどに成長したのです。
そのことが最もわかるのが、映画の初めのシーンと終わりのシーンです。
初めのシーンでは、主人の死にチャンスは涙はおろか、特に何の言葉も残しませんでした。
それはチャンスが非情であったのでも、主人を嫌っていたのでもありません。
チャンスには「主人の死」自体が理解できなかったのです。
しかし、最後シーンではチャンスは涙を流し、「ベンの死」を理解しました。
チャンスは作品のなかで「人の死」を理解するほどに成長したのです。
水面を歩いたチャンス。あの場面を象徴するのは
水面を歩いたとされる世界で最も有名な人物
チャンスはベンの葬儀を途中で抜け出し、森を散策し、森の池の水面を歩きました。
このシーンは「イエス・キリスト」を象徴しているといえるでしょう。
イエス・キリストは奇跡の力を弟子たちに見せるため水面を歩きました。
その奇跡の力を見たこともあって、弟子たちはイエスを神の子、そして救世主であると信じました。
水面を歩いたチャンスは何を意味したのか
チャンスが水面を歩いたシーンが何を意味したのか、2つの考察があるのでご紹介します。
1つ目が、チャンスがアメリカの、もしくは世界の救世主になることを示唆した、です。
これは水面を歩いたキリストとチャンスを重ね合わせたからだといわれています。
2つ目は、チャンスのような純粋な心が世界を救うと示唆した、です。
キリスト教の信者が多いアメリカで、キリストと映画の主人公を完全に一致させることは強い反発を招きかねません。
そのため純粋な心が世界を救うとやや遠回りな表現にした、という考察です。
『チャンス』はサクセスストーリー?風刺映画?
純粋さで大統領に?
ここまで、主にチャンスの純粋な心に対しての考察をしていきました。
一方で、本作はサクセスストーリーであるとも、風刺映画であるともいわれています。
なぜなのか、まずはサクセスストーリーと思われる一面から紹介していきましょう。
ベンの葬儀のとき、ベンの経営者仲間の間で、チャンスを大統領に推す意見がでました。
この後、チャンスが大統領になったのかはわかりません。
しかし、チャンスが大統領の友人と認められたこと、そしてチャンスが世間で人気になったこと。