スーが突然心を入れ替えたのは、クリスがプロムの参加を拒否されたことにあったのかもしれません。
動画をアップするとき自分も一緒にいたものの、クリスだけが咎められ次は自分の番だと思ったのでしょう。
先生にもキャリーのことがなければプロムのクイーンに投票したのにと言われ、自分がプロムに行く意義が見えなくなったのです。
それならばキャリーに優しくした方が得策だと考えたのかもしれません。
最後までキャリーを心配してくれていた少女ですが、人よりもずる賢く物事を損得勘定で見ることに長けていたのでしょう。
地面から伸びた手は何を語っているのか?
スーが花を手向け弔おうとした時に地面から手が伸びてきて、スーの腕をつかみました。
この手はキャリーのものであり、キャリーからの仕返しは悪夢という形で死んでもなおスーを苦しめたのです。
スーの心の中では超能力を使うキャリーはまだ死んでおらず、生きていたのかもしれません。
自分もイジメに加担していたという罪悪感を持ち、大量殺人現場を目撃しキャリーの死に様を見たことはスーにとってトラウマになっていました。
スーは子どもが生まれても例え年を重ねてもキャリーの呪縛から解き放たれることはないのです。
死ぬ間際にキャリーが放つあんた達のせいだという言葉が途中から心を入れ替えようとスーのことを許していないことが分かります。
スーの子どもも成長するとやがてキャリーのように育つであろうという暗示さえ感じ取れます。
【キャリー】のすごさはこれだけじゃない!
名作映画へのオマージュシーン
シャワーシーンはデ・パルマ監督が尊敬してやまないヒッチコック監督へのオマージュだと言われています。
所長で血まみれになるキャリーの場面はシャワーでの殺人シーンを連想させます。
そしてキャリー達が通う高校の名前は「ベイツ高校」ですが、この名前もヒッチコック監督の作品『サイコ』から取っているのです。
『サイコ』に登場する殺人鬼の名前は「ノーマン・ベイツ」で、ここからそのまま使用しています。
更に『サイコ』のテーマ曲は【キャリー】の作中で何度も繰り返し使用されています。
紹介した以外の部分でもオマージュが散りばめられているので、ぜひ『サイコ』も観賞し、オマージュ部分を探してみてください。
あのスピルバーグが遊びに来ていた現場
スティーヴン・スピルバーグ監督がキャリーの撮影現場に頻繁に訪れていたそうです。
デ・パルマ監督がここにはかわいい女の子がたくさんいるとスピルバーグ監督を招待していたのです。
実際に現場に遊びにきたスピルバーグ監督はあらゆる女優に声をかけて回りました。
そこで出会って結婚までしたのが、スー役のエイミー・アーヴィングだったのです。