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『ゴジラvsキングギドラ』は平成ゴジラのvsシリーズ第2弾となります。
ゴジラのライバル筆頭といえるキングギドラが単体で登場する作品です。
作成時はまさにバブル全盛期でこのまま日本が栄え続ければという問いかけになっています。
そこから来る未来予想図にちなんだタイムトラベルが鍵になるのです。
本作ではより強大になったゴジラと、対決するキングギドラ、それに絡んでくる人間ドラマに焦点を当てて考察していきます。
本作の特徴
本作を理解するには、どのような時代背景でゴジラを描いているかを知ることが重要です。
まずはバックボーンとなる世相をチェックしてみましょう。
どういう時代背景で作られたか
繁栄しすぎる日本への警鐘を織り交ぜるなど当時のバブル景気に対してのメッセージを織り込んでいます。
上映時にはバブル景気が崩壊しており、メッセージが伝わらなかったというのも時代を振り返ってみるとシニカルに感じます。
企業はどこまで力を持つのか
一企業である帝洋グループが原子力潜水艦を保持しているさまは、企業がもしも力を持ち続けたら、というifとしての描写です。
2020年4月現在ではGoogle、Apple、Facebook、Amazonといったいわゆる「GAFA」が企業として大きな力を持っています。
軍事に関わりそうになったりはしましたが、軍事力を隠し持っているという情報は入っていないので、まだ安心ですね。
新堂がビルに残った意味とは
首都上陸を果たしたゴジラは新宿のビル街に突き進みますが、そこには帝洋グループの本社があり、過去に因縁のある新堂が待ち構えていました。
なぜ新堂は退避せず、ゴジラの前に立ちはだかって最期を迎えたのでしょうか。
かつての戦友と会いたかった
太平洋戦争中にアメリカ軍の襲撃を受けた新堂たち日本軍は、ラゴス島の主であるゴジラザウルスに命を救われます。
日本の繁栄をもたらした新堂を救ったのは昔のゴジラザウルスですが、いま日本を滅ぼそうとしているのはゴジラザウルスから生まれたゴジラです。
この皮肉に気がついた新堂は、原子力潜水艦をゴジラに与えてしまった自分の愚かさに気づきました。
最後にひと目ゴジラとコミュニケーションを取ろうと、対峙することを選ぶのです。
自分の最期をゴジラに介錯してほしかった
ビルに残った時点で、新堂は自分が死ぬであろうことがわかっています。
むしろゴジラに殺されることを願ってビルに残ったというべきでしょう。
自身の行いがゴジラを強力に復活させ、日本が滅びようとしているとわかった時点で、新堂は自分の死に場所を求めていたように思えます。