過去にとらわれてた
引用:世界にひとつのプレイブック/配給会社:ワインスタイン・カンパニー
パットの書いた手紙がすべてを物語っていました。
ダンスを通して彼は過去と決別が出来、ティファニーという大切な存在を手にすることが出来たのです。
ダンスに打ち込むことで、妻への執着心が消え真実の世界が見えたのではないでしょうか。
ティファニーにとってもダンスの大会に夢中になり、そして成果を残したことで夫を失った喪失感が消え行ったことでしょう。
衝撃シーンが物語るメッセージ
劇中にはパットの異常な行動が、リアルに表現されていました。
衝撃的な描写
ガラスを割ってしまったり、大声を出してしまったりするパットの行動は観る者に衝撃を与えます。
しかしこの行動こそが躁鬱病の実態なのでしょう。
病気であると認識することが大切といわれていますが、それは本人ばかりではなく周囲の者も病気を認める姿勢が大切なのです。
劇中では躁鬱病の姿がリアルに描かれ、それを支える家族の姿が印象的でした。
パートナーを失うことへのストレスは、誰にでも起こりうることであり特別なことではないのです。
監督の思い
本作で監督を務めたデヴィッド・O・ラッセルには双極性障害(躁鬱病)と強迫性障害を患っている息子がいました。
心に病を抱える人と、それを取り巻く人々をテーマとした本作に、ラッセルは自身の境遇を重ね合わせます。
ラッセルの心の痛みが制作の原動力となって本作は誕生しました。
心に病を抱えた男女同士のロマンティック・コメディという本作の脚色はとても難しいものです。
ラッセルは5年間に20回以上脚本を書き直したそうです。
この作品の重みを感じるストーリーです。
身近な心の病を明るく描いた映画
『世界にひとつのプレイブック』は、現代病ともいえる心の病を描いた作品です。
しかし重くなりすぎず明るいタッチで描くことで、彼らに未来があることを強く印象付けています。
パットが妻に耳打ちしたセリフは、観る者に委ねられていますが、きっと未来へ向けた明るい言葉だったはずです。