「もうこれ以上は隠しきれない」と観念した主人公は、殺人を犯したことを告白しますが皆笑って信じてくれません。
昨日の殺人鬼パトリックは面白かったよ
引用:アメリカン・サイコ/配給会社:ライオンゲート・フィルムズ
大勢の人を殺しているのに世間では何の問題もなく毎日が過ぎ去り、相談した人には信じてもらえない。
このことからパトリック・ベイトマンは殺人を1件も犯しておらず、全て空想上の出来事だったのではないかと考察できます。
現実世界のパトリック・ベイトマンはどのような人物なのか?
作中では自分に絶対的な自信を持っている主人公ですが、実際の彼はどのような人物なのでしょうか?
今回の考察から、本当のパトリック・ベイトマンがどのような人物なのか紐解いていきましょう。
本当は小心者
アメリカン・サイコをそのまま見た限りでは主人公であるパトリック・ベイトマンは殺人鬼です。
しかし実際には殺人を犯す度胸もない小心者で自分や仕事のことにストレスを抱えている極々普通の一般人です。
これは私たちが日常的に抱えているストレスに通じるものがあるのではないでしょうか。
パトリック・ベイトマンのようなアメリカン・サイコな一面は誰しもが持ち合わせているともいえます。
薄っぺらい自分を罰してほしい
超一流コンサル企業に勤めるエリートで金持ち。
これだけでもステータスになりますが、彼が欲しているのはそんなものではありません。
パトリック・ベイトマンはエリートだからこそ、「そんな薄っぺらい自分を罰してほしい」という欲望を抱えています。
実態のない仕事をしている主人公は、自分を築き上げている全てのものが目に見える形で残っていないのを悟っています。
だからこそ、自分自身はなんて薄っぺらい人間なのだと内面で悲観しているのです。
「社会に適応したい」と望むあまり、パトリック・ベイトマンは空想上で殺人を繰り返します。
しかし、現実世界では誰も死んでいません。
これは、作中でライバルのポール・アレンの死体を置きにいった場所を終盤に訪れた際に表現されています。
実際には小心者で、自分が空想上で殺人を繰り返すあまりに、本当に殺人を犯したのかどうかも分からなくなってしまった。
これらが、アメリカン・サイコの真相です。
笑えるシーンもある
スプラッタシーンが多くR 18+に指定されている作品「アメリカン・サイコ」ですが、作中で笑える皮肉めいた表現が多々あります。
この表現は、主人公だけを異常者に見せるようにした演出だったのではないかと考察します。
ここまでご紹介してきた考察にあったように、異常者はパトリック・ベイトマンだけでなく登場するエリート全て。
人はみんなどこかで異常な部分を持っているからこそ、登場人物を代表して主人公が様々な笑える「こだわり」を表現しています。
このようにアメリカン・サイコは違う視点で見ると、また違った作品にも見える面白さがあるのです。