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2018年にラース・フォン・トリアーが監督した映画「ハウス・ジャック・ビルト」。その残虐な殺人シーンゆえにR18+に指定されました。
マット・ディロン演じるジャックが、あるきっかけで殺人鬼と化す様子は異常さが際立っています。
建築家を目指していた技師のジャックがなぜ連続殺人を犯すことになったのでしょうか。
今回はそんな「ハウス・ジャック・ビルト」の中でも、落ちた地獄での行く末・神経質さが犯行に与えた影響・殺人のきっかけに迫まります。
殺人のきっかけ
親切心で困っている女性を車に乗せてあげたジャックですが、失礼なことを言い出す女性にカッとなってしまいます。
ジャックに暴言を吐く女性もありえない人間ですが、普通ならここでぐっと堪えるでしょう。
なぜジャックは怒りを抑えきれなかったのでしょうか。
本当に女性は暴言を吐いたのか
初対面の人、しかも親切に声をかけて助けてくれた恩人に対して、これほどしつこくまくし立てる人間は異常です。
たまたま異常な人間をジャックは乗せてしまったのでしょうか。
後に連続殺人犯となるジャックですから、彼が女性に自己投影した可能性もあるはずです。
彼の中に隠れていた殺人鬼としての「素質」。
これが、この女性の口から出た「殺人鬼」というワードによって眠りから覚めてしまったのかもしれません。
そしてそのワードを聞いた途端、ジャックの中に隠れていたもう一人のジャックが彼自身に暴言を吐いたのではないでしょうか。
女性が発した言葉と妄想の区別がつかなくなって、全てが女性の暴言に聞こえてしまったとも考えられます。
つまりこの女性は「殺人鬼」というワードを冗談で使ったばかりに、本物の殺人鬼を呼び起こしてしまったのかもしれません。
そう考えると、本当に女性が暴言を吐いたのかすら疑わしくなります。
異常性の片鱗
百歩譲って、この女性が本当に暴言を吐いたとします。怒りに任せてジャックが殺してしまうのも理解できなくはありません。
ですがその死体を冷凍庫に保存するという行為は、殺人鬼らしさを感じます。
なぜなら人を殺した場合、死体を自分のテリトリーの外に追いやりたいという心理が一般的には働くからです。
罪の意識と捕まりたくないという恐怖で、山や海に遺棄するケースは多いでしょう。
手元に置いておくのは怖いと思うのは、まだ人間として正常のように見えます。
これを念頭に置いてジャックの遺体処理の方法を見ると、彼の異常性が確認できるはずです。
ジャックが女性を殺したのは偶然ではなく、必然。ジャックの異常性を開花させるきっかけを彼女が与えたに過ぎないのです。
神経質さが犯行に与えた影響
二番目の殺人で、犯行が被害者宅で行われたため、痕跡を拭き取るのに余念のないジャック。
そこでの行動は、彼が持つ強迫性障害と潔癖症の影響が如実に現れていました。